広告主様が二酸化炭素排出量をより効率的に測定および管理できるようにするため、Google は Google 広告のカーボン フットプリントを発表しました。このレポートは、ディスプレイ&ビデオ 360、検索広告 360、キャンペーン マネージャー 360、Google 広告などの Google 広告サービスを使用しているアカウントで発生した二酸化炭素排出量をトラッキングするためのファーストパーティ データをマーケティング担当者に提供します。
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Google 広告のカーボン フットプリントにより、広告主様は Google のファーストパーティ データを使用して環境への影響をより正確に測定できます。
- アカウント固有の推定値を提供: Google 広告のカーボン フットプリントは、ファーストパーティ データを利用して排出量をアカウントごとに配分します。アカウント固有の推定値は、個々のアカウントのターゲティング、メディア ミックス、落札したオークションと落札できなかったオークションなどに基づいて計算されます。
- 業界標準に準拠: 二酸化炭素排出量レポートは、世界的に広く認められている温室効果ガスプロトコルの二酸化炭素排出量の報告と会計基準(GHGP)およびグローバル メディア サステナビリティ フレームワーク(GMSF)に準拠して作成されます。
- 環境への影響をより正確に測定: レポートでは、個々のアカウントについてスコープ 1、スコープ 2、スコープ 3 の排出量の内訳が示されます。この内訳には、市場ベースと施設ベースのスコープ 2 排出量が含まれます。
カーボン フットプリントは、一部の広告主様を対象に、リクエストに応じてご利用いただけるようになりました。今後、対象をさらに拡大する予定です。
以降のページでは、Google 広告のカーボン フットプリントが提供する広告主様固有の温室効果ガス排出量レポートの背景、手法の概要、詳細な技術情報について説明します。
手法
カーボン フットプリントの手法について
広告主様が Google 広告サービスの使用による二酸化炭素排出量を測定できるようにするため、Google は広告カーボン レポート(Google 広告のカーボン フットプリント)を提供します。このレポートは、広告主様の Google での広告配信が気候に及ぼす影響を可視化します。これにより、広告主様はそのような影響を報告し、影響を軽減するための対策を講じることができます。
通常、Google 広告の広告主様は、ディスプレイ&ビデオ 360、検索広告 360、キャンペーン マネージャー 360、Google 広告など、さまざまな Google サービスを使用しています。広告主様固有のカーボン フットプリントに適合するレポートを提供するため、Google はそれらのサービスを支えるコンピューティング インフラストラクチャによって発生した二酸化炭素排出量を確認し、広告主様によるそれらのサービスの使用量に基づいて広告アカウントごとに排出量を配分します。このレポートが対象とするインフラストラクチャは、データセンターと、Google のコンテンツ配信ネットワーク サーバーです。
Google 広告のカーボン フットプリントが提供する広告主様固有の温室効果ガス排出量データについて、第三者による検証または保証はまだ行われていません。手法またはデータソースが更新された場合、計算に重大な変化が生じる可能性があります。また、この広告カーボン レポートで提供される広告主様固有の温室効果ガス排出量の現在および過去のデータが調整される可能性があります。
手法の背景
Google 広告のカーボン フットプリント レポートは、世界的に広く認められている温室効果ガスプロトコルの二酸化炭素排出量の報告と会計基準(GHGP)に従って作成されます。この基準は、排出量レポートに関する詳細な手引きを提供しています。
排出量(スコープ 1、2、3 を含む)は、広告主様のアクティビティに基づいて広告主様に配分されますが、対象となるのは Google 境界内のアクティビティのみであり、広告のエンドツーエンド配信(ISP を介したネットワーク伝送やエンドユーザー デバイスの使用など)は対象外です。広告主様は、これらの数値を入力としてエンドツーエンドの排出量の推定に使用し、最終的にスコープ 3 排出量(バリュー チェーンに関連する間接的排出量)としてご自身のレポートに含めることができます。
Google 広告のカーボン フットプリントのレポートとダッシュボードでは、GHGP の施設ベースおよび市場ベースのレポート標準を使用しています。
- 施設ベースのスコープ 2 排出量データは、特定の施設で利用されているすべての発電源から発生する排出量を表します。施設ベースの排出量データでは、Google の再生可能電力購入契約やその他のカーボンフリー電力契約は考慮されません。したがって、これらの指標は、広告主様が Google のカーボンフリー電力購入を考慮せずに、Google 広告サービスの選択と使用パターンが温室効果ガスの排出に及ぼす影響を把握するのに役立ちます。
- 市場ベースのスコープ 2 排出量データでは、GHGP の市場ベースの手法と基準に従って、Google のカーボンフリー電力購入が該当のデータセンターに及ぼす影響が考慮されます。Google 広告の広告主様がご自身の商品やサービスに関する年間スコープ 3 排出量インベントリをまとめる場合は、市場ベースのフットプリントが非常に役に立つ可能性があります。
Google 広告のカーボン フットプリントの計算はボトムアップ方式で行われ、Google インフラストラクチャ(Google のデータセンターとコンテンツ配信ネットワーク)内のマシンレベルの電力とアクティビティのモニタリングに大きく依存します。これにより、Google はマシンを直接使用している内部サービスに排出量を配分することができます。この粒度のおかげで、最終的に広告主様固有の使用量に基づいて排出量を広告主様に配分することが可能になります。
Google 広告のカーボン フットプリントでは、施設ベースの排出量データと市場ベースの排出量データで、Google のカーボンフリー電力購入を考慮する方法が異なります。また、排出量を推定する際に使用する排出係数の粒度も、施設ベースの排出量と市場ベースの排出量で異なります。
- 施設ベースの排出量の計算では、1 時間あたりの温室効果ガス排出係数が使用されます。これは、グリッドに電力を供給する発電源が絶えず変化するためです。1 時間あたりの温室効果ガス排出係数では、1 時間ごとに使用される発電源の構成が考慮されます。この計算方法では、1 時間あたりの電力負荷データと照合して排出量を算出します。排出量の数値は、グリッドの電力需要とその電力を供給するのに必要なリソースの関係に影響されます。
- 市場ベースの排出量の計算では、年間の温室効果ガス排出係数が使用されます。これは、企業の温室効果ガス計算の他のスコープでは、この排出係数がよく使用されるためです。この排出係数と Google のカーボンフリー電力購入の影響を組み合わせると、報告するスコープ 3 排出量インベントリに含めるのに適したデータソースになります。
マシンレベルのデータと 1 時間あたりの排出係数を使用するアプローチは比較的新しい手法であるため、そのような排出量レポートに対する第三者による検証または保証はまだ行われていません。Google は、毎年 Google の総合フットプリントについて独立公認監査人から第三者による保証を受けていますが、これらの広告主様向けレポートの作成に必要なデータ ストリームとプロセスについては、同様の検証または保証は行われていません。
境界
Google 広告のカーボン フットプリントには、以下のアクティビティから発生する排出量が含まれます。
- スコープ 1
- 施設内の化石燃料の燃焼。バックアップ電源用のディーゼル燃料、暖房用の天然ガス、全車両で使用される燃料など。
- データセンターの暖房換気空調システムの冷却剤からの漏洩排出。
- スコープ 2
- Google 広告サービスの電力使用(Google が所有するコンピューティング機器とネットワーキング機器、冷却や照明などの補助的な電力サービスでの使用を含む)。電力を使用する施設が Google 所有のデータセンターか他社所有の施設か(施設ベースの計算か市場ベースの計算か)は問いません。これには、データセンター外で Google が所有および運営するサーバーでの電力使用も含まれます。なお、データセンター外では、機器はさまざまな施設に設置されており、その施設の多くは Google 所有の施設ではありません。したがって、補助的な電力サービスの運用効率は業界平均の PUE を使用して推定されます。
- スコープ 3
- データセンター機器のアップストリーム ライフサイクル(体化)排出量。
- データセンター ビルディングのアップストリーム ライフサイクル(体化)排出量。
- Google データセンターで作業している従業員に関連する出張と通勤。
- 送電および配電中に失われる電力の生成。
- グリッド電力の生成に使用される燃料の採取、製造、輸送。
Google 広告のカーボン フットプリントでは、以下のアクティビティで発生する排出量は除外します。
- データセンター外にデプロイされている Google のネットワーキング機器(付属する Google のコンテンツ配信ネットワーク サーバーは除く)からの排出量。
- データセンターの機器とビルディングの耐用年数終了時のダウンストリーム排出量。
- グリッド発電の施設と機器に関連する体化排出量。
計算方法
広告主様固有の Google 広告のカーボン フットプリント レポート(広告カーボン レポート)の数値は自動的に計算されます。このセクションでは、その計算方法について説明します。
主要なコンセプト
- Google 広告サービスは、共有コンピューティング プラットフォームを使用します。コンピューティング リソース(処理能力、メモリ、ストレージ、ネットワークなど)は、多くの広告主様の間で共有されます。
- Google のサービスは、内部サービスと呼ばれる機能単位を中心に構成されています。内部サービスは、Google のデータセンターのマシンで実行される特定のソフトウェア機能です。Google 広告サービスは、このような内部サービスを多数使用します。
- 広告配信を支える電力使用は、温室効果ガス排出の最大の原因の一つです。データセンターのコンピューティング リソースは、共有ビルディングに統合されています。このようなビルディングは、コンピューティング機器を使用するための電力に加えて、照明、冷却、電力システム、およびその他の補助的なニーズに対応するための電力を消費します。
- 電力は、全世界の個々のグリッドで稼働しているさまざまな発電所から供給されます。発電によって発生する温室効果ガスの種類は、発電エネルギー源(天然ガス、石炭、風力、太陽光、水力など)によって異なります。各グリッドの発電源は多種多様であり、グリッド内の発電源は時間帯によって異なります。
- 広告配信の電力使用とその結果生じるカーボン フットプリントを広告主様ごとに配分するのは、技術的に困難な課題です。広告主様のコンピューティング ニーズに応えるために必要な共有リソースのレイヤのため、広告主様のフットプリントを特定する作業は非常に複雑です。広告主様ごとのコンピューティングの使用とサービスの選択に応じたフットプリント レポートの提供は、新しい配分手法と前提条件(以下で詳しく説明します)の開発によって実現しました。
計算の概要
Google 広告のカーボン フットプリントでは、まず、コンピューティング リソースの使用とデータセンター リソースの要件の関数としてエネルギー使用量を計算します。次に、電力以外の排出源から生じる排出量の比例配分に加えて、施設ベースと市場ベースの電力使用による二酸化炭素排出量を計算します。
市場ベースの排出量指標では、Google のクリーン電力購入が、関連するデータセンターの負荷と照合され、Google がクリーン エネルギーを購入しているすべての施設で、地域の市場ベースの電力排出係数が確定されます。市場ベースの排出量レポートでは、施設ベースの排出係数の代わりに地域の市場ベースの排出係数が使用されます。
エネルギー使用量
データセンター マシンのエネルギー使用量と内部サービスへの配分
Google は、マシンの総エネルギー使用量を内部サービスに配分するために、ワークロードを実行するときに使用されるエネルギー(「動的電力」)と、マシンがアイドル状態のときに使用されるエネルギー(「アイドル電力」)を個別に評価します。各マシンの 1 時間あたりの動的電力は、内部サービスの相対的な CPU 使用率に基づいて、その時間にサポートされた内部サービスに配分されます。マシンのアイドル電力は、データセンターのリソース配分(CPU、RAM、SDD、HDD)に基づいて、各内部サービスに配分されます。
オーバーヘッド エネルギー使用量(電力システム、冷却、照明)は、マシンの 1 時間あたりの総エネルギー使用量に基づいて、データセンター内の各マシンとそのユーザーに 1 時間単位で配分されます。
Google の共有インフラストラクチャ サービスは、それらのサービスを呼び出す他の内部サービスの使用状況をトラッキングしています。これにより、共有インフラストラクチャ サービスのエネルギー使用量は、それらの内部サービスの相対的な使用量に基づいて、それらの内部サービスに再配分されます。十分な使用量データがない内部サービスの場合、Google は内部コストを使用して共有インフラストラクチャのエネルギー消費量を再配分します。
これらの計算と配分が完了すると、Google は各データセンターの各内部サービスに 1 時間あたりの電力使用量を配分します。
Google のコンテンツ配信ネットワークのエネルギー使用量と内部サービスへの配分
データセンター外のマシンのエネルギー使用量はモニタリングされていますが、その測定値はデータセンター内のマシンほど包括的ではありません。そのため、電力使用量は保守的なアプローチで推定されます。つまり、マシンタイプごとの最大電力消費量を総合的に計算し、そのタイプの各マシンが常時その量の電力を使用すると仮定します。
Google 所有のデータセンターでは、データセンターの実際の電力使用効率(PUE)はオーバーヘッド エネルギー使用量の計算への入力として使用されますが、コンテンツ配信ネットワーク施設のほとんどは Google 所有の施設ではないため、業界平均の PUE が使用されます。
これらの計算と配分が完了すると、Google は各コンテンツ配信ネットワーク施設の各内部サービスに 1 時間あたりの電力使用量を配分します。
温室効果ガス排出量
電力からの温室効果ガス排出量: 施設ベースの計算
Google は、施設固有のエネルギー使用量にグリッド電力の二酸化炭素排出原単位係数を乗算して、施設ベースの温室効果ガス排出量を 1 時間単位で計算します。これは、エネルギーを消費する施設のグリッドに供給される電力源(化石燃料、再生可能エネルギーなど)の実際の構成を反映します。なお、施設ベースのスコープ 2 排出量では、エネルギー属性証明書(EAC)や電力購入契約(PPA)などのエネルギー購入の選択または契約は考慮されません。
Google 広告のカーボン フットプリントへの入力として使用される 1 時間あたりのグリッド二酸化炭素排出原単位のデータには、発電に関連する排出量のみが含まれ、その他のライフサイクル ステージは含まれません。1 時間あたりの排出係数のデータは Electricity Maps から提供されます。Electricity Maps のデータが利用できない場合、Google は国際エネルギー機関が発表する国別の年間平均二酸化炭素排出原単位係数を使用します。
排出量の計算にあたり、Google は各施設の各内部サービスの 1 時間あたりのエネルギー使用量に、その時間と施設に対応する二酸化炭素排出原単位係数を乗算して、内部サービスの施設ベースの電力カーボン フットプリント(1 時間あたり / 施設ごと)を決定します。
電力からの温室効果ガス排出量: 市場ベースの計算
市場ベースの電力フットプリントは、GHGP 基準に従って Google のクリーン電力購入を該当のデータセンター負荷と照合することにより推定されます。
Google は、自らの市場ベースの排出量を毎年計算しています。この計算では、Google のクリーン電力契約施設の実際の発電量と各施設で使用される電力が考慮されます。Google は、政府機関の情報源(国際エネルギー機関と米国環境保護庁が発表するデータを含む)で一般公開されている年間グリッド排出係数を使用して、市場ベースのスコープ 2 排出量を推定します。
Google は、クリーン電力を購入している地域ごとに、Google のデータセンターの市場ベースの年間総排出量を計算します。施設ベースの電力排出量は、その地域における前年の再生可能電力比率を使用してスケールダウンされます。このスケーリング係数を該当地域における施設ベースの詳細な排出量の計算値に乗算して、広告主様ごとに細分化された月単位の市場ベースの排出量レポートが作成されます。
市場ベースのスケーリング係数は Google 全体の市場ベースの排出量の計算に依存するため、年に一度更新されます。したがって、市場ベースの排出量レポートでは、特定の時点における Google の電力購入と再生可能エネルギー生成の動的なビューは提供されません。むしろ、このレポートは前年における Google の再生可能エネルギー アクティビティを表します。
GHGP スコープ 2 のガイダンスでは、購入したクリーン エネルギーからの排出量ゼロ宣言を、クリーン エネルギーが生成され、同じ地理的地域で合理的な期間にわたって使用された場合に限定しています。
なお、施設ベースの排出量データと市場ベースの排出量データでは、排出係数が異なります。
- 施設ベースの排出量の計算では、1 時間あたりの温室効果ガス排出係数が使用されます。これは、グリッドに電力を供給する発電源が絶えず変化するためです。1 時間あたりの温室効果ガス排出係数では、1 時間ごとに使用される発電源の構成が考慮されます。この計算方法では、1 時間あたりの電力負荷データと照合して排出量を算出します。排出量の数値は、グリッドの電力需要とその電力を供給するのに必要なリソースの関係に影響されます。なお、この数値は配分のために 1 日あたりの排出量に集計され、内部サービスの施設ベースの電力カーボン フットプリント(1 日あたり / 施設ごと)が算出されます。
- 市場ベースの排出量の計算では、年間の温室効果ガス排出係数が使用されます。これは、企業の温室効果ガス計算の他のスコープでは、この排出係数がよく使用されるためです。この排出係数と Google のカーボンフリー電力購入の影響を組み合わせると、報告するスコープ 3 排出量インベントリに含めるのに適したデータソースになります。
電力フットプリント
電力フットプリントの Google の広告サービスへの配分
Google 境界内で実行されるサービスは多種多様です。最初のステップとして、広告に関連する内部サービスを特定し、各サービスからの排出量を定量化します。
内部サービスごとの排出量は 1 日単位で集計されます。これらの排出は、サーバーが設置されている各施設で発生します。
電力フットプリントの広告主様への配分
上記のステップが完了すると、Google の広告サービスの総合カーボン フットプリントが算出され、各施設の各内部サービスの排出量が 1 日単位で分割されます。次のステップでは、これらのサービスのフットプリントを特定の広告主様に配分し、わかりやすい単位(この場合は、月単位の粒度で提供されるアカウント単位のデータ)に集約します。
この処理は、ログなどのアクティビティ レベルのデータを使用して行われます。したがって、特定のアカウントには、特定の日に特定のデータセンターでその広告主様の広告配信の内部プロセスに対する処理が行われた場合にのみ、該当する比率の排出量が配分されます。
電力以外の排出源
電力以外の排出源
Google 広告の二酸化炭素排出量の大部分は発電からの排出量が占めていますが、それ以外の排出源も総排出量に影響します。
Google 広告のカーボン フットプリントでは、Google 全体の排出量インベントリに由来する、電力以外の排出源のデータ ストリームを使用しています。そのため、電力以外の排出源からの排出量は、電力からの排出量ほど動的でなく、より粒度が粗い基準に基づいて計算され、広告フットプリントに加算されます。電力使用量とそれに関連する施設ベースの排出量は 1 時間単位で測定されますが、それ以外の排出源からの排出量は月単位または年単位で確定され、地理的な特異性は反映されません。なお、データセンター機器とデータセンター施設の体化排出量に関する Google 全体のデータの保証は行われていません。
カーボン フットプリント レポートで、電力以外の排出源から発生する全社規模の排出量を広告主様ごとの内訳に配分するため、Google は配分係数(広告主様の広告の電力使用量と Google の総電力使用量の比率)を確定し、その係数に各排出源からの排出量(ここで説明している方法で決定される)を乗算します。
- データセンター機器の体化排出量: この排出源には、材料の採取、精製、機器の製造拠点への輸送に必要なアクティビティと、製造プロセスに関連する排出が含まれます。Google は、ライフサイクル分析を使用して、データセンター機器ごとの体化排出量を確定しています。その後、このフットプリントは 4 年間で償却され、機器ごとの年間排出量負荷が算出されます。
Google データセンターに設置されているマシンの総数とすべての機器の総排出量は毎月更新されます。新たに追加されたマシンは 4 年経過すると撤去されます。 - データセンター施設の体化排出量: この排出源には、材料の採取、精製、データセンター建設地への輸送に必要なアクティビティと、冷却システムや電力システムなどのインフラ設備を含む施設の建設自体に関連する排出が含まれます。Google は、ライフサイクル分析を使用して、データセンター建設の排出量を確定し、この数値を新たに追加したデータセンターの規模(データ容量)に基づいてスケールアップまたはスケールダウンしています。その後、このスケーリングされた排出量は 20 年間で償却されます(これは、Google の財務会計基準に合わせて選択された年数です)。
新しく使用可能になったビルディングのデータ容量は、月単位で施設の体化排出量の継続的計算に追加されます。 - 施設内の化石燃料の燃焼: この排出源は、データセンター施設内での燃料の使用をすべて含みます。たとえば、バックアップ電源、給湯、暖房、輸送(全車両)などです。Google は年単位で、関連するすべての記録を収集し、データセンターのすべての燃料の使用量を合計することにより、年間排出量レポート作成プロセスの一環としてカーボン フットプリントを計算します。
データセンターの総燃料排出量は、Google 広告のカーボン フットプリントの計算のために毎年更新されます。 - データセンターの従業員の通勤と出張: この排出源には、Google データセンターで作業している従業員に関連する通勤と出張が含まれます。Google は、従業員の出張記録と通勤手段の推定データを年単位で収集しています。いずれのアクティビティについても、全世界の総排出量が算出されます。この全世界の Google の総排出量にデータセンターの従業員数と Google の総従業員数の比率を乗算して、データセンターの従業員レベルにスケールダウンし、データセンターの総排出量を算出します。
データセンターの通勤と出張の総排出量は、Google 広告のカーボン フットプリントの計算のために毎年更新されます。
詳細な技術情報
電力使用量
このセクションでは、Google が使用しているボトムアップ方式のエネルギー消費量計算方法について説明します。
まず、すべてのマシンは 1 つ以上の内部サービスのワークロードを実行します。Google は、各マシンを使用している内部サービスを 1 時間単位で記録します。同様に、マシンごとの電力使用量も 1 時間単位で記録します。
マシンの電力使用は、ワークロードの実行に使用される電力(動的電力)とマシンがアイドル状態のときに使用される電力(アイドル電力)の組み合わせになります。これらのマシンレベルの電力使用量を内部サービスレベルで配分するには、次の 2 つの方法があります。
- 各マシンの 1 時間あたりの動的電力は、その時間にサポートされた内部サービスに配分されます。ワークロードが実行されているときは、CPU 使用率がエネルギー消費に大きく影響します。Google は、データセンター内の CPU 使用率を、マシンごと、および内部サービスのワークロードごとにモニタリングしています。マシンが 1 つの内部サービスをサポートしている場合は、マシンの動的電力のエネルギー消費量がその内部サービスに配分されます。マシンが複数の内部サービスをサポートしている場合は、マシンで実行されている各内部サービスの CPU 使用率に比例した動的電力のエネルギー消費量が配分されます。
- アイドル電力のエネルギー消費量は、データセンターにおける各内部サービスのリソース配分に基づいて、Google の内部サービスに配分されます。マシンをアイドル状態にする主な理由は、いつ必要になるかわからない高負荷のワークロードを遅延や中断なしで実行できるようにするために、コンピューティング リソース(CPU、RAM、HDD、SDD)を「準備完了」状態にしておきたいという欲求です。アイドル電力は、内部サービスがそれらのリソースを使用しているかどうかと無関係に、購入したコンピューティング リソースのレベルに基づいて配分されます。これにより、内部サービスごとのアイドル電力が各データセンター施設に配分されます。
データセンターの電力オーバーヘッド負荷(電源システム、冷却、照明)は、データセンター内のすべてのマシンに配分されます。この負荷はビルディング レベルでは測定され、サブビルディング レベルでは精密に推定されます。この推定には、Google の電力使用効率モニタリング システムの一部である検証済みのアルゴリズムが使用されます。サブビルディングの推定値は、完了した動的電力配分およびアイドル電力配分と同じ比率で、サブビルディング セクターにデプロイされているマシンに配分されます。
次に、共有インフラストラクチャ サービスのソフトウェア レイヤで必要とされる電力が、上位レベルの内部サービスによる共有インフラストラクチャ サービスの使用量に基づいて配分されます。共有インフラストラクチャ サービスの配分には、それらのオーバーヘッド負荷が含められます。これらの配分は、(マシンレベルではなく)内部サービスレベルで維持されます。
十分な使用量データがない内部サービスについては、内部サービス間でチャージバックされたコストを使用して、共有インフラストラクチャのエネルギー消費量を再配分します。
温室効果ガス排出量
このセクションでは、Electricity Maps の計算について説明します。
まず、グリッド二酸化炭素排出量係数にはバランシング機関の発電データが必要です。このデータは 1 日分のエネルギー構成を提供します。これは、グリッドで稼働しているさまざまな発電所ごとの相対的な発電量です。次に、Electricity Maps は、相互接続されたグリッド間で行われるリアルタイムの電力輸送のデータを追加します。
最後に、Electricity Maps は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)(2014)による発電源(石炭、天然ガス、水力など)ごとの電力生成排出係数を使用して、電力グリッドごとにボリュームで重み付けされた 1 時間あたりの二酸化炭素排出原単位係数(生成されたメガワット時間あたりの排出量)を算出します。Electricity Maps の二酸化炭素排出原単位係数は、こちらで確認できます。
なお、Electricity Maps は、すべての Google サーバー設置施設のデータは提供していません。アジアのデータに欠落があります。利用できるデータがない場合、Google は国際エネルギー機関が発表する国別の年間平均二酸化炭素排出原単位係数を使用します。
Google は、該当の二酸化炭素排出原単位係数を各サーバー設置施設にマッピングします。次に、各施設の各内部サービスの 1 時間あたりのエネルギー使用量に、その施設に対応する二酸化炭素排出原単位係数を乗算して、内部サービスの施設ベースのカーボン フットプリント(1 時間あたり / 施設ごと)を算出します。各内部サービスのフットプリントは 24 時間単位で合計され、各施設におけるその内部サービスの 1 日あたりのフットプリントが算出されます。
広告主様への配分
この段階では、広告に重点を置く各内部サービスの排出量(1 日あたり / 施設ごと)が判明しているため、次のステップとして、フットプリントを広告主様のアカウントごとに配分します。広告主様ごとに、ログやその他のデータポイントなどのアクティビティ ベースのデータを使用して、各施設内のどの内部プロセスが広告主様のアカウントで処理を実行したかに加えて、その日にサービスが実行した処理の比率も確定できます。アカウント ID と日付パラメータを指定すると、以下の処理が行われます。
- 指定した期間内のそれぞれの日、施設、使用された内部サービスについて、そのアカウント ID の排出量が計算されます。
- 次に、このデータが集計され、そのアカウント ID の処理に使用されたすべての内部サービスと施設におけるその日の総排出量が算出されます。
- さらに、その期間のデータが合計され、そのアカウント ID の総排出量が、スコープ 1、スコープ 2(施設ベース)、スコープ 2(市場ベース)、スコープ 3 の各カテゴリに分割されます。
- このデータが、月単位の内訳として広告主様に提示されます。
なお、広告主様のすべての電力カーボン フットプリントの合計が Google の広告配信の施設ベースの電力カーボン フットプリントの合計と等しいことについては、検証が行われています。